2年生の必修科目『航空工学実験1』では風洞実験を行います。
風洞という風を流す実験設備で、航空機の翼に働く空気力の計測をしたり、
煙を使って翼周りの空気の流れ(写真)を見えるようにする実験です。
特に、翼周りの空気の流れの観察は、センスを磨くという意味でとても重要です。
以下、担当教員による講義・実験中の様子をお送りいたします。
「レオナルドダビンチは、流体力学の理論が出来上がるより300年も前に鋭い観察眼で、300年後の理論で説明される流体現象のスケッチを残していた」と、実験前の座学で学生に発破(プレッシャー?)を掛け、「例年とは違い、失速の説明は行わない。
煙試験では、自分の目で見て気付いたことを何でもいいから、実験レポートに書くんだ」と指示しました。
実験前に失速について講義すると、「失速」という言葉を使って実験レポートを書かねばならないと学生が誤解しがちであり、下手をすると「失速」という言葉は覚えたけど、現象論がおざなりになることを心配したのです。
さて、それで結果は・・・
「空気がだんだんと消えていく」
「流れる空気が完全になくなっている」
「風が全く流れない空間ができている」
どれも、ある空気力学的現象を学生が「自分の言葉」で綴ったものであり、前後の文脈を含めれば、学生が観察した現象が何であるかは、よく分かります。
上記3つは、同じ現象について文章表現に個性が現れたものですが、これに限らず、いろんな現象を、教員の目で見て「そう来たか!」と思わせる新鮮な文章表現がいくつもありました。ダビンチには追い付くのは簡単ではないでしょうが、一歩近づけたかな。
ところで「空気がだんだんと消えていく」現象って何かって、興味がある高校生は、ぜひ、本学の航空宇宙工学科に来てください。一緒に実験して、自分の目で確かめましょう。
某国立大学・航空工学科出身の担当教員のひとり言
『自分の学生時代には、風洞を用いた煙による可視化や、翼型の空気力計測の実験はやっていない。日本文理大学の学生は恵まれているよな・・・・』