Topics2022/08/03

卒研指導「勝負はそこからだというのに」

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2022/07/27「いつやるの? いまでしょ!」で紹介した鋼線破断の続きです。
本来は電子顕微鏡写真を撮りたいのですが、その前に、大学が持っている光学顕微鏡で断面観察するよう学生に指示しました。ただし、その日は、学科の重要な行事準備作業があったため、光学顕微鏡の方は学生に任せました。別件が終わった段階で学生に顕微鏡撮影の状況を確認すると「ライトが切れているためできませんでした。切れたライトの交換部品は技術員に頼んで注文してもらいました」とのこと。

こういう場面で簡単にあきらめる(先送りする)のではダメだということを企業勤務時代に嫌というほど経験している教員は「ハンディライトを持っていくから、もう一回やってみよう」と提案。

教員も一緒になって試行錯誤してみてわかったことは、一番難しいのはピント合わせで、それに比べるとライトの有無は大した問題ではありませんでした。ハンディライトでもちゃんと見えたのです。それよりも、ピント合わせが難しく、初めはいきなり鋼線の破断面にピントを合わせようとして、これはうまくいきませんでした。次に、まず平板などの金属面にピントを合わせたうえで、その平板の上の鋼線の破断個所を持っていく(押し付ける)作戦に切り替えると、写真のようにうまくいきました。

エジソンは「ほとんどすべての人間は、もうこれ以上アイデアを考えるのは不可能だというところまで行きつき、そこであきらめてしまう。勝負はそこからだというのに」と言ったという逸話を学生に紹介。「ライトが切れている」というのは「これ以上アイデアを考えるのは不可能」には程遠く、その100歩手前。「(あなた方)学生はいとも簡単にあきらめてしまう。頭を使う勝負はそこからだというのに」だなと教員。

得られた写真は、疑問が残る破断面だったので、この実験はまだまだ続きます。