Topics2022/08/10

村上敬宜先生、間違っています!

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九大卒の教員の多くは、学生時代に村上敬宜先生から材料力学等を学びました。
1990年頃、九大で航空を初めとする機械系学科の留年生のほとんどは村上先生の単位を落とした人でした。
ですが、単に厳しいということではなく、テストでは0点も続出するが100点を取る人もいて、
本質的な理解とセンスを重要視した先生でした。

テストの回答用紙はB4白紙が1枚だけで「解答を書くスペースがありません」と言うと、
「その解答は、すでに間違っている」と諭され、実際に翌週の正答解説は数行で終わる。

テストには、専門書等何でも持込可能で、他の大学の先生を連れてきてもよい。
唯一の例外は、村上先生の単位を取った先輩(単位取得者ができるのは当然と先生)。

材料力学は私が教えているのだから、東大になんかに負けるわけがない などなど。

確かに、村上先生から学んだことは多いと本学教員。

前置きが長くなってしまいましたが、本学における材料力学の教科書としている
村上先生の材料力学(新装版)に不適切な記述を見つけてしまったというお話です。

卒研指導として、基本となる材料力学についての確認を学生とディスカッションする際に、
教員は白黒の旧版を見ながら、学生はカラーの新装版を見ていました。

「梁(はり)のたわみ(記号:w)は変位だから、xと同じ矢印になっているだろ」(教員)
「えっ・・・・」(学生)
「だから、荷重を表すPやMの矢印とは、違う矢印が使われいるだろ」
「えっ・・・・」(学生)
「ちょっと、教科書を見せて(中略)ありゃ本当だ」(教員)

当時を知る教員としては、村上先生らしからぬ誤記と感じました。
新装版は、村上先生が第一線を退かれてから出版されているようで、
村上先生ご自身のチェックが行われていないのではないかと思われます。

先生、間違っていますよ!!(先生、お元気ですか??)

補足解説)

白黒の旧版では、力(荷重)を表すM、P、qの矢印の頭と、
距離(変位)を表すl、x、wの矢印の頭は、異なっている。

カラーの新装版では、力(荷重)と距離(変位)で同じ矢印形状になってしまい、
たわみwの色が、力(荷重)の色と同じなっており、旧版での区分けと異なる。