Topics2022/09/01

満点の定義?(ともかく答えをひねくり出すには)

  • d1
  • d1

今年刷新した1年生の航空工学概論でのお話の続きです。

期末試験は、満点もいたけど、零点もいるという結果でした。
全員が出来なければ難し過ぎ、全員が出来ると易し過ぎですから、
ちょうどよいレベルだったと担当教員は自己満足。

その中で正解ではないけど、教員の注意を引いた回答がありました。
上空の空気密度を求める問題で、線形内挿を使った回答。
(気体の状態方程式を積分した式を使うのが正解)

設計実務では、何とかして答えをひねり出す必要があります。
正解がいつもあるとは限らないので、場合によっては答えを創造する必要がある。
実際によくある手として、線形内挿があります。

何とかしようとして、線形内挿を発案したのであれば、
この学生は、本物の技術者の素質を持っているかもです。


【畑村洋太郎,技術の創造と設計から】
あなたはクルマを一台持っているとしよう。
あなたが1年間車を使うと、いったいどのくらいの量の二酸化炭素を地球に負荷していることになるだろうか。こう質問されたとき、「わかりません」と答えるか、「ちょっと待て、大体の数字を出してみるから」と答えるか、そこが技術者としての境目である。わかろうがわかるまいが、シッタコッチャナイから、ともかく答えをひねくり出すのが、本当の技術屋である

【フォンカルマン先生は・・】
それでは聞くが、満点の定義はなんだね。
全部が正しい答えのことです。
そこが違うんだよ、どんな工学の問題でも、完全に正しい答えなどありはしないんだよ。大事なことは問題が処理され、展開される道筋なんだ。適当な方法を駆使して知的な解析を行った学生が、掛け算で間違った計算したために答えが間違っていても、それは正確ではあっても回答に何等の想像力も現れていない答案を出した人よりも、はるかに上の点数がもらえるのだよ