卒研では学生との技術的ディスカッションが重要です。ディスカッションの結果、角材を縦に積んだところを上から圧縮するとどうなるのかいう問題に行きつきました。金属棒が圧縮を受けると、変形により高さが減少しますが、高さ減少するのではなく金属棒が倒れるという座屈(ざくつ)という現象があります(材料力学で勉強します)。この座屈と似たような現象が発生するのか、発生するならどんな現象なのかがポイントです。
すると学生が「手持ちの材料を使って実験をやってみたい」というので「いいんじゃない」と応じたのが12/22。その学生は週末から帰省予定だったので、翌12/23、3月の学会発表の打合せを行って年内はこれで一旦終了。ところが、昼過ぎにまた学生が現れて「先生、今日実験やりませんか?」。
事務作業が1件あるのでそれが終わってからやろうと応じて、学生は準備に掛かりました。ところが、その事務作業で大学事務棟に行った際に別件が発生し、なかなか実験に掛かれません。「ちょっと別件が入ったから、待ってて」と学生に伝えたのですが、別件が終わった時にはすでに暗くなっていました。ですが、実験室に行ってみると、学生は待っていて、それから実験に取り掛かりました。
実験というものは、何が出るかわからないから実験するという特性上、あっという間に2,3時間過ぎてしまうということがよくあります。この日の実験も、いくつかの実験条件が考えられたので、何時間で成果が得られるかは微妙なところでした。ところが、幸運なことに最初に選んだ実験条件で、ほぼ満足できる結果が出て、1時間未満で終えることができました。必要なデータを学生に渡して、学生は満足して帰っていきました。
翌朝、LINEを見てみると、昨日の実験結果に基づき学生が検討した結果が昨晩のうちに送られていました。研究開発の現場では、このようなスピード感/瞬発力が勝負を分けることがよくあります。きっと、この学生は本物のエンジニアになるでしょう。