Topics2022/12/26

データ取り直します!

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例年2年生が行っている風洞実験があります。風洞に設置された翼型に設けられた穴の圧力を計測するというもの。揚力は翼表面の圧力の総和なので、揚力を構成する圧力を計測する実験です。マノメータと呼ばれる液柱の高さを読み取って圧力に換算するのですが、翼の表面には多数の穴が設けられているので、読み取る液柱の高さもそれだけの数があります。
読み取り担当の学生が「432mm、360mm、……」と順々に読み上げていき、記録係の学生(数人)が記録用紙にメモっていきます。このプロセスを翼の角度を変えながら数回行います。その途中で、何番がいくらで、その次がいくらだったのかが、分からなくなる(記録係の学生の中で結果が異なる)という事態が発生しました。
「翼角度を次の実験条件に変更する前に、どれが正しいかをはっきりさせないと」と指導したところ「実験後、みんな記録を確認して正しいのは誰の記録なのかを確認する」と学生の第一声。ただし、これはあまり正しい対応とは言えません。「誰が正しいかが曖昧になった場合、データ捏造になってしまうぞ」と追加指導すると、ある学生が「データ取り直します」。
具体的にデータを取り直すという選択肢を教員からは提示していなかったので、データの取り直しはこの学生が自ら考えた対策となります。「わかった、それでいこう」とだけ応じると、その後はこの学生を中心に読み上げ係と記録係の整合を都度確認し、あいまいなところがあれば、その場でチェックするという手順の改善も含めて実験が行われました。データ取り直しを提案した学生は正しい技術的センスともにリーダーシップを発揮してくれました。その他の学生も、学びは多かったでしょう。