Topics2023/06/16

地味にすごいエンジニアの卵(若さの特権)

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今週水曜日は紀要(大学が発行する研究論文集)の原稿締め切りでした。
航続性能を推算するために三面図からボーイング機種の表面積を測り取る作業を学生KI君にやってもらい、
その成果を研究ノートとして紀要に投稿する最終チェック。
空気に触れる機体表面積は空気との摩擦により空気抵抗を生むため、その大小が航空機設計では重要で濡れ面積(Wetted Area)と呼ばれます。

締め切り間際のドタバタで、もともと予定されていたKT君との卒研の打ち合わせと同時並行。
AIAA(アメリカ航空宇宙学会)出版の参考文献の版数と該当ページの確認を依頼していたら、いつの間にかKI君とKT君の共同作業になっていました。
文章の確認にKT君も加わり「『精度5%』っておかしくない」とKT君。
『実機に対する誤差は5%』に修正などKT君の意見も取り入れつつ原稿を仕上げ、締切りの30分前に提出できました。

2人が帰った後、気づいたのですが2人の共同作業は地味だがすごいことになっています。
つい数か月前に卒業研究に着手ばかりなのに、一端(いっぱし)の研究者同士の会話になっていることが一つ。
もう一つは、真に自主的なチームワークになっていること。
会社になると上司/部下の関係がベースにあるので、真に対等な立場で手伝うということは、意外と少ないのです。

考えてみると、これは若さのなせる業(わざ)かもしれません。
・すごい勢いで成長している
・損得勘定のない友だち関係がそのまま活かされている
(会社では上司の指示がベースにある他、損得勘定が避けられない)

昨年、芝を植えたところに生まれたばかりと思われる体長数ミリのバッタを見つけました。
大きさは数ミリでも、格好は一端(いっぱし)のバッタです。
このバッタが、秋には大きくなるように
エンジニアの卵である彼らも数年後には日本の航空宇宙産業の一翼を担うことになるでしょう。
(KI君は羽田空港でANA機のドック整備を、KT君は三菱重工に派遣され設計をやっているでしょう)